8月は,原爆が2回落とされた月,終戦の月,そしてお盆と,命を偲ぶ機会が多い月です。
大切な家族を亡くされた方とお会いすることがあります。
日の浅い方からは,大きな痛みが伝わってきます。
痛みを感じられなければ,サポートする資格はありませんが,
痛みに囚われてしまったら,適切なサポートはできません。
弁護士の職責を果たすには,ともに泣くシンパシー(sympathy,同情)より,心情をすくって支持するエンパシー(empathy,共感)が重要だと思ってます。
経験の少ないうちは,失敗を重ねました。
駆け出しのころは,一緒になってボロボロになったりもしました。
あるいは,仕事なんだと言い聞かせて,努めて事務的に対応した時期もあります。
法的な結論は,やり方によって,大きな差違はないと思います。
でも,本当の意味で支えることができたかと言うと,不十分でした。
以前,相続専門の税理士さんと一緒に仕事をした際に,
「依頼を受けたら最初に,ご霊前で,手を合わせるようにしている」
というお話を伺い,ハッとしました。
依頼人は,目の前にいる方だけではない,
そう気付いてから,自然と,エンパシーで行動できるようになった気がします。
悲嘆に暮れる方からお話を聞きつつ,同時に,故人が何を望んでいるかを想います。
悲嘆が癒えるには,無念を晴らす機会,落ち着いた環境,そして時間が必要です。
このうち,機会と環境は,弁護士なら,整えることができます。
それが,故人より託されていると思うのです。