民事調停、裁判所が解決案 最高裁報告書 積極関与へ転換
(msn 2013.8.3より)簡易裁判所の民事調停について、最高裁が改善策をまとめた研究報告書を年内にも公表することが分かった。
報告書は「裁判所側が合理的根拠に基づく解決案を積極的に策定することが有効」という内容が柱となる見通し。
調停では双方が譲り合って解決を図ることが重視されてきたが、近年は事案の複雑化などで調整が難航するケースが増加しているためで、調停担当の裁判官に配布する。裁判所側の“交通整理”によって、大正時代から続く調停の在り方が大きく変わることになりそうだ。民事調停法は調停の目的を「当事者の互譲により、実情に即した解決を図る」としており、判決などで結論を示す訴訟と比べ、民間から選ばれた調停委員が当事者の言い分を聞いた上で「円満解決」を探るのが特色だ。
一方で、当事者の譲り合いのみに頼り、調停委員が合理的な基準に基づかないまま「まあまあ、この辺でどうでしょう」と話を収める「まあまあ調停」や、単に双方の主張を足して2で割っただけの解決案を示す「折半調停」といった運用上の問題点も指摘されていた。調停の運用改善にあたって参考とされたのが東京、大阪簡裁の取り組みだ。
両簡裁での昨年3月までの約1年間の一般調停成立状況をみると、東京簡裁は取り扱った225件の50%、大阪簡裁は182件の42%で、裁判所側が解決案を策定。このうち、いずれも9割超で紛争が解決した。
「まあまあ調停」・「折半調停」というのは,この業界では常識でした。
福岡ではまだ,調停委員に弁護士・建築士・不動産鑑定士・医師などもいて,事案によっては,訴訟より適していることもあります。
しかし,調停委員の確保に手こずるような地方では,どうかと思うような運用が為されていることが多いと聞きます。
上記引用では省略しましたが,元記事では,調停がまとまらない場合の,民事調停法 17条所定の「調停に代わる決定」の積極的な活用についてもコメントがありました。
「調停案に応じないなら,『決定』を下すよ」となれば,かなり,紛争解決に大きく資するはずです (裁判所の『決定』には強制力があります)。
今後は,調停を活用する局面が,今より多くなりそうです。
これに影響を受けて,簡裁全体で「裁判所側が合理的根拠に基づく解決案を積極的に策定」という傾向になることを,期待したいところです。
「まあまあ調停」ではまとまらなくなったというのも,それに最高裁が口を出すのも,社会の変化,時代の流れを感じます。
弁護士業務においても,社会の変化に無関心ではおれません。