法律の学び方

投稿者: | 2011年5月7日

受験生に向けたアドバイスです。
※今年受験の方は,受験直前に,あれこれ悩むのは禁物。 下記のようなオヤジの戯言には目もくれず,ただ,自分のやってきたことを信じるだけです。

このごろ,受験生と話をする機会がままあるのですが,はて? と思うことあり。

法律の学び方として,王道にして究極と思っている方法があります。
どうも,あまり実践されていないみたいですが。
私が受験生であったのは16年も前ですが,実務家登用の趣旨が変わらない限り,王道は普遍です。
司法試験以外の法律職試験にも,敷衍できるのではないかと思います。

ということで,ここに記します。

それは,
 原典にあたる
ということ。
王道だけに,シンプルです。

たとえば,民法の勉強なら,民法典を1044条まで通読(素読)すること
少し学習が進んで,法律用語が耳に馴染んでからやった方がいいでしょうね。

理由1
論理的思考の流れは,
 条文→判例→学説→レジュメ
条文の意味が不明確だから,裁判官が思考して,判例を作る。 判例に触発され,判例を批評するために,学者が思考して,学説をつくる。 そして,錯綜する判例・学説を理解するために,実務家・教師らが思考して,レジュメ・マニュアルを作る。
つまり,「分からないことを,解説する」,という思考の連鎖です。

勉強は,往々にして,この逆向きになりがちです。
条文の通読は,「分からない」の体験が,一番の目的です。
この原体験が,論理の流れを,理解しやすくします。

理由2
条文を素読して,ひっかかるようなら,その部分は,理解していないということです。
自分の実力を,判定できます。

理由3
法律家の唯一・最大の武器は何でしょう?
もちろん,法律(条文)です。
どれだけ条文を大切にしても,し過ぎることはありません。
勉強の段階から,このことを身に染みさせておくべきです。

テクニカルとしては,横書の法令データなんかよりも,縦書の普通の六法が良いと思います。
それも,新司法試験用六法のような,解説・判例が付記されていないものの方が,通読しやすいでしょう。

これが済んだら,余裕があれば判例百選の通読ですね。
解説は適当に飛ばして,判旨を読めば十分。

いずれにせよ,
勉強というのはベクトルであり,量以上に,方向が重要です。
勉強の方向性をつかむためには,先輩合格者の話を聞くのが一番です。
その上で,試行錯誤して,自分に合ったやり方を見つけます。

受験時代に身につけた勉強方法は,実務家になってからも,基本的なスタイルとなります。
着実に,頑張ってください!


新司法試験用六法