(読売新聞2010年3月12日より)
政府は11日,今国会に提出する独占禁止法改正案をまとめ,公正取引委員会を所管する内閣府の政策会議に報告した。
独禁法違反を指摘されて行政処分を受けた企業が公取委に不服を申し立てる「審判制度」の廃止が柱で,2011年末までに施行する。改正案は12日に閣議決定する。審判制度の廃止後は,行政処分に不服のある企業は東京地裁に提訴する。
改正案では,処分前の調査で公取委が企業の従業員から事情聴取する際に弁護士の立ち会いを認めるかどうかを,1年程度かけて検討していくことも明記した。審判制度は,談合などで企業が課徴金の納付命令を受けた場合などに異議を受け付ける制度で,その決定(審決)に納得できなければ高裁に提訴できる。経済界は「処分と不服審査の両方を公取委が担うのは公平ではない」と主張,民主党は昨年の総選挙前に出した政策集に廃止方針を盛り込んでいた。
公取委によると,審決は08年度までの10年間で237件出ているが,現行制度になってからは,いずれも当初の処分が適当との判断だった。公取委は,独禁法違反の判断には高い専門性が必要だとして制度存続を主張していた。
裁判制度に関し,実務上,もっとも使いづらいと感じるのが,管轄の問題です。
つまり,事件を,どこの裁判所が担当するか。
もちろん,担当する裁判所が遠方となる場合もあることは,避けられないでしょう。
しかし,遠方の裁判所に,何度も出頭するのは大変です。
極力,出頭する回数を限定した上で,審理を進めて頂く。 そのような仕組みの整備が,立ち後れています(電話会議という制度があり,一定の効果はありますが,十分でありません)。
今後,裁判所の方でも,専門的分野について集中して審理するべく,専門部を作っていく動きが出てくるはずです(たとえば,知財紛争では既に,第1審は東京・大阪,第2審は東京という,専属管轄が定められています)。
審理の充実は歓迎されますが,そのままでは,地方の市民・会社・弁護士には,裁判所は遠い存在となってしまいます。
仕組みの整備が必要です。