悪質な家賃取り立てに懲役刑 追い出し規制法案まとまる

投稿者: | 2010年2月23日

(朝日.com2010年2月23日より)
 悪質な家賃取り立てから借り主を守る「追い出し規制法案」を政府がまとめた。これまでは民事トラブル扱いで警察は介入しにくかったが,無断で鍵を交換したり,深夜早朝に再三,取り立てたりすることを新法は違法行為として禁止。警察の捜査対象となり,懲役刑が科される。23日に閣議決定し,来年4月の施行を目指す。
 新法では,賃貸住宅の大家や管理する不動産会社,借り主の連帯債務を請け負う家賃保証業者など,家賃を取り立てる側すべてが規制の対象になる。鍵を勝手に交換して借り主が部屋に入れないようにする,家財道具を無断で持ち出す,借り主が拒んだのに深夜や早朝に督促を繰り返す…といった行為は違法になる。 貸金業法と同様に,「人を威迫し,私生活の平穏を害する言動」が違法とみなされ,例えば,玄関への張り紙も,単に連絡を求める内容なら問題ないが,「払わない場合は荷物を撤去する」といった借主を威圧する言葉だと違法になる。
 賃貸住宅の契約では,親類や勤務先の企業が連帯保証人になることが以前は多かった。しかし,派遣社員が増え,核家族化も進み,連帯保証人を見つけられない入居者が急増。日本賃貸住宅管理協会の調べでは,最近の賃貸契約では4割に家賃保証業者が介在している。
 家賃保証業者は国土交通省への登録を義務づける。無登録営業は,法人が1億円以下の罰金,個人が5年以下の懲役か1000万円以下の罰金。
 法案の検討を進める中で,滞納者をデータベース(DB)化して共有する動きが表面化。 政府は,実害がまだなく,過度な規制になるとして全面禁止を見送る一方,DBの作成には借り主の同意が必須とし,DBへの登録も拒否できるようにする。

「追い出し規制法案(通称)」の骨子がまとまったようです。
多岐にわたる内容が含まれますが,端的に要約すると,「滞納者にはすぐに裁判を提起せよ」ということです。 乱暴な要約のようですが,恐らく,これが正確な理解でしょう。
取立て・回収は,本人ないし連帯保証人にプレッシャーをかけることが,裁判以外では唯一有効な手段です。それが,大幅に制限されます。
もちろん,常軌を逸した立退かせ行為が違法であるのは当然です。しかし,この法制化で,これまでは社会的に相当な範囲と考えられていた取り立ても,違法になりかねません。少し強い内容の取り立ては,グレーでしょう。
実際上,身動きがとれなくなるでしょう。
賃貸人サイドでは,この法案が成立したら,その施行までの間に,滞納から明渡し訴訟までを事務的に,システマチックに遂行する態勢を整える必要があるでしょう。