(神戸新聞2010年02月23日より)
国に無登録でマンション管理業務をした上,管理費などを着服していたとして,長田署などは23日,マンション管理適正化法違反と業務上横領の疑いで,神戸市兵庫区内の無職の男(56)を書類送検した。県警によると,2001年に施行された同適正化法違反による摘発は全国初という。
同署によると,送検容疑は02~08年,国土交通省に無登録で同市長田区と東灘区のマンションの管理業を営み,05~08年にそれぞれの管理組合の管理費や補修工事用の定期預金など計約2200万円を着服した疑い。
同適正化法は,管理費などをめぐる住民と管理業者のトラブルを防ぐために,業者に登録と,国家資格のマンション管理業務主任者を置くように義務づけている。同署によると,男はもともと管理会社の従業員で,02年に独立したが,資格は持っていなかったという。
同市東灘区のマンションは,勤め先だった会社が管理し,男が担当していたが,独立後に組合から管理を請け負った。長田区のマンションは,1時住人だったのをきっかけに委託された。調べに対し,容疑を認め「生活費や遊ぶ金に使った」と供述しているという。
男は昨年11月,長田区のマンション管理組合の定期預金などを着服したとして業務上横領容疑で逮捕されたが,透析治療が必要なため釈放されて任意で取り調べを受けていた。その後の調べで適正化法違反が発覚した。
マンションの管理業務は,管理業務主任者・マンション管理士の資格が設けられ,登録制度がとられています(マンションの管理の適正化の推進に関する法律,通称「マンション管理適正化法」)。
無資格でマンション管理業務を行った者について,同法施行後,初めて,刑事事件として摘発されたようです。
このケースでは,業務上横領がメインの事案と思われます。マンション管理適正化法違反の容疑だけでは,摘発されなかったかもしれません。
ただ,警察や司法は,社会の動きに連動して,注力する分野を変化させるものです。
不動産賃貸借関係の規制強化の動きとの関連を,考えずにはいられません。