追い出し屋家賃取立て,夜9時以降は「違法」

投稿者: | 2010年5月23日

(asahi.com2009年12月4日より)
滞納家賃の支払いを長時間にわたって強要されたとして,福岡市内の30代男性が家賃保証会社「フォーシーズ」(東京)と同社従業員らに慰謝料など計110万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が3日,福岡地裁であった。
高野裕裁判長は「心身の安全や生活の平穏を脅かした」とし,午後9時以降の取り立てなどを不法行為と認定。一審の福岡簡裁判決が午前0時以降の取り立てに限って命じた慰謝料5万円を変更し,慰謝料を含む22万円に増額した。

追い出し屋とか,取り立て屋とかが跋扈しています。
この福岡地裁判決は,感覚的に,当然という気がします。
私自身も,ちょっと前に,「荷物を勝手に運び出された」という賃借人の事件を担当したことがあります。その時は,訴訟上の和解でしたが,もっと多額の和解金でした。

何事も,法的手続以外の方法で解決を図ることには,大きなリスクがあります。
事件数としては,大家さんから依頼を受ける方が多いですが,速やかに,しかし淡々と,請求・訴訟・強制執行といった法的手続を進めていくようにしています。

ときに,1審の福岡簡裁の認定額が小さすぎるような…(なお,訴額140万円以下の事件は,簡裁が第1審,地裁が第2審=控訴審,となります)。
独立して,簡裁事件を取り扱う機会が多くなりました。
簡裁は,地裁に比べても,裁判官のバラエティーに富むというか,ブレ幅が大きいような気がしています。
比較的,弁護士が関与しない事件が多いことも,関係あるでしょう。
弁護士と裁判官,法律家同士で真剣に議論し,せめぎ合う,緊張感のある法廷。
そういった地味な積み重ねが,正しい司法を実現することにつながるのだろうと思います。