(毎日新聞2010年3月31日より)
大和証券釧路支店の元女性社員(44)=懲戒解雇=が顧客の口座から現金を不正に引き出した問題で,元顧客ら7人が元社員と同社を相手取り,総額約1億5410万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日,釧路地裁であった。
菊池憲久裁判長は請求の一部を認めて元社員に総額約2530万円の支払いを命じたが,同社への請求は棄却した。菊池裁判長は「取引が元社員の職務権限内で適法に行われたものでないことを知ることができた」として原告らに重大な過失があると指摘。
損害額を算定し直し,6人についてのみ過失分を相殺した金額の賠償を認めた。
同社への請求は「使用者責任に基づく請求は理由がない」として棄却した。このほか,同社が原告の1人に「元社員と共謀し別の顧客になり済まして不正に金を引き出した」として1260万円の損害賠償を求めた反訴は「共謀したとまで認めることはできない」と退けた。
証券会社の従業員が,架空の投資話を顧客に持ちかけたケースだろうと思います。
顧客側としては,証券会社の通常の業務ではないことは知り得た。しかし,証券会社の従業員の話であるからこそ信頼したという側面は,あると思います。
その限りにおいて,証券会社の看板が利用され,顧客の損害発生に寄与した事実はあります。
とは言え,裁判所は,使用者責任を否定しました。
裁判所が使用者責任を否定するというのは,よほどのことです。
1つの事例として,注目されます。