(毎日新聞2010年3月31日より)
鋼鉄製橋梁談合事件を巡り,独占禁止法違反(不当な取引制限)で有罪が確定した三菱重工業(東京都港区)の株主が,元社長ら当時の役員7人を相手取り,指名停止措置による受注減などで被った損害35億円を同社に賠償するよう求めた株主代表訴訟は31日,東京地裁(渡部勇次裁判長)で和解が成立した。元社長らが解決金1億6000万円を同社に支払う。事件では東京高裁が07年9月,同社に罰金5億6000万円の判決を言い渡した。
橋梁談合を巡る株主代表訴訟は,日立造船(大阪市)や神戸製鋼所(神戸市),住友金属工業(大阪市)でも起こされ,既に和解が成立している。
率直に言うと,甘いです。
損害額をどのように捉えるかは議論があるかもしれませんが,少なくとも,5億6000万円の罰金分は,最低でも賠償されなければならないはずだと思います。
株主代表訴訟の制度は,株主にとって利用しやすい仕組みにはなっていませんが,このように,一定の効果を上げていることは間違いありません。
「もの言う株主」は,とかく胡散臭く言われがちですが,株主が会社の不正を監視することは,会社にとっても,他の株主にとっても,また社会にとっても,極めて有益です。
今後,事例が増え,積み重ねられることが,期待されます。