(毎日新聞2010年3月27日より)
ごみの中間処理施設の計画を県がいったん承認しながら,建設後に操業を不許可としたのは違法として,廃棄物処理業者「あずさ環境保全」(波田町)など2社が,県に不許可処分の取り消しと69億3200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が長野地裁であった。
近藤ルミ子裁判長は県に対して,不許可の取り消しと550万円の支払いを命じる判決を言い渡した。判決などによると,原告は安曇野市で中間処理施設の操業を計画。県は04年に計画書を承認し,施設は完成した。だが住民の反対などを理由に,県は翌年承認を取り消し,業者が出した操業の許可申請も08年に不許可とした。近藤裁判長は「住民の同意は許可の要件でない」などと指摘し,不許可処分を違法と認定した。
ゴミの問題を典型にしますが,法律上,「地元の同意」は事業許可の要件ではない,という場合,行政は,事実上の調整役として,業者が地元と円満な話し合いをするよう指導することが少なくありません。
これは,法律上の根拠がありません。
ただ,行政が許認可の権限を握ってますから,何かと難癖をつけて,許認可を下ろさないということも,できなくはありません。 業者としては,それが怖くて,行政の言うことを聞きます。
行政手法の典型が,通達・指導です。 法的根拠は,ほぼありません。
許認可権限を肺経にした,同じようなやり口です。
行政としては,使命感を持ってやっているものと思います。
しかし,司法に携わる者から見ると,率直に言って,かかるやり方がまかり通る行政の世界って,無法地帯と言っても過言ではありません。
これから,弁護士が増えて行きます。 これまで弁護士がほとんど手をつけていなかった行政の領域にも,積極的に進出する弁護士が出てくると思われます。 それで,社会の仕組みが,大きく変わっていくかもしれません。
良し悪しではなく,それが,司法改革の意味です。