市立保育園児死亡で賠償命令 熱中症,過失認め3300万円

投稿者: | 2009年12月16日

(47NEWS2009年12月16日より)
 埼玉県上尾市の市立上尾保育所で,2005年夏,園児(当時4歳)が本棚で見つかり,熱中症で死亡したのは,保育士らに重大な過失があったためとして,遺族が市に約8500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で,さいたま地裁は16日,園側の過失を認め約3300万円を支払うよう命じた。
 裁判所は,保育士2人が1時間以上にわたり動静把握義務を怠ったとして「重大な過失に当たる」と認定。
 判決によると,園児は,2005年8月10日午前10時半ごろ,保育士やほかの児童と散歩から戻った後に姿が見えなくなった。約2時間後に,本棚の引き戸の中で意識をなくしている園児が見つかったが,熱中症のため間もなく死亡した。

 詳細は分かりませんが,このケースは,子どもが1人で中に入って,そして出られなくなるような家具が置いてあった時点で,安全配慮・危機管理に重大な欠陥があると言わざるを得ない,という印象です。
 保育所は,本来,保育のプロのはずです(しかも,無認可ではなく市立)。プロがプロの仕事をしていないための,悲しい事故です。

 でも,当たり前のことを当たり前にやっていないからって,指摘したりするのは,結構,勇気がいります。
 最近,モンスターペアレントとか,モンスターペイシェントとかいう言葉を聞きます。 たしかに,極端なケースはあるかもしれませんが,普通の人の当たり前のクレームが,モンスターと揶揄されていることもあります。 あるいは,確かに行き過ぎはあったとしても,それ以前に,普通の人をモンスターにするだけの前提・背景事情があるという場合もあります。
 言葉とは怖いもので,「モンスター…」という言葉ができあがってしまうと,程度の強いクレームを十把一絡げでそれに分類してしまう,そういう風潮が出てしまいがちです。
 法律事務所に相談にいらっしゃる方の中にも,「自分はモンスターではないのか」と,自問自答されている方がいます。じっくり聞くと,大抵は,そんなことないのですが…。