(毎日新聞2009年12月14日より)
東京証券取引所は14日,みずほ証券のジェイコム株の誤発注をめぐる損害賠償訴訟で,東京地裁が東証に約107億円の賠償金の支払いを命じた判決について控訴を見送ると発表した。市況低迷の中,問題の早期解決を図り,市場活性化と信頼回復を優先すべきだと判断した。
東証に賠償を求めて提訴したみずほ証券は「(控訴するかは)引き続き慎重に検討する」とコメント。18日の控訴期限までに結論を出す。
東証は14日,「賠償責任があるとされたことは残念」とコメントしたうえで,「過去の問題に時間を浪費するより,証券市場の活性化に取り組むことが最善」と控訴見送りの理由を説明した。
みずほ証券は「株の誤発注で損失が拡大したのは東証のシステムに問題があった」として東証に対し約415億円の損害賠償を請求。
今月4日の判決は,東証が誤発注を見過ごし,売買停止措置をとらなかったことに重大な過失があると認定。みずほ側も発注管理に不備があり重大な過失があったとした。
賠償対象の損害額を約150億円と算定し,東証とみずほの過失割合を7対3として,東証に約107億円の賠償の支払いを命じていた。
一時期,大いに話題となった事件です。
報道の限りでは,誤発注の後に,その取り消しが効かなかったという顛末だったようです。
裁判所の認定は,誤発注の後,本来ならば取り消しが効いてしかるべきタイミングより以降の成約分を損害と認め,更にそれを過失相殺する,という構成のようです。
本件については,問題が起きたのが,一般投資家向けのシステムではなく,証券会社というプロを相手とするシステムであった点で,裁判所の判断を注目しておりました。
結局,裁判所は,東証の過失を認めました。ただし,責任を負うべき成約分の範囲を限定した上で,30%の過失相殺(みずほ側の過失)を認定しました。
判決文をよく見てみようと思います。
ちなみに,東証が損害賠償金の支払を実行したら,システム開発会社等との間でも,賠償の問題が生じそうです。
※2009/12/18追記
みずほ証券側は控訴したようです。