「手話は言葉に相当」 名古屋地裁 事故で後遺障害認定

投稿者: | 2009年11月26日

(東京新聞2009年11月26日より)
交通事故で手話が不自由になったのを言語障害に相当すると認めないのは不当として,聴覚障害のある名古屋市の主婦が,加害者の男性に約2600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が25日,名古屋地裁であった。
裁判所は「意思疎通の手段として聴覚障害者の手話は,健聴者の言葉に相当する」と訴えの一部を認め,男性に約1200万円の支払いを命じた。
原告側は,「(事故による)骨折の後遺症で左手首が返らず,左手小指も曲がりにくくなり,手話能力は従前の6割程度に落ちた」とし,自賠責保険での後遺障害等級が6級(67%程度の喪失)と主張した。裁判所は,手話の障害の認定方法について「意思疎通が可能かどうか,手話能力がどの程度失われたかを個別的に判断するのが相当」とした上で,「骨折の後遺症で利き手の左手の指や右肩の関節などの可動域が狭くなり,言語能力の14%程度が失われたと認められる。意思疎通はできており,著しい障害とまで言えない」とし,後遺障害の慰謝料や休業補償など約1200万円の賠償を認めた。男性側の損保会社は後遺障害を右肩や左手の運動障害のみに限定し等級を11級と評価していた。==自賠責保険は,類型的・定型的判断をするのが特徴です。類型・定型にあてはまる障害なら,簡易・迅速に認定されるのが,良いところです。しかしながら,非典型的な障害については,途端に,硬直的で融通が効かなくなります。交通事故をめぐる法律問題は,良くも悪くも自賠責を中心とするシステムができあがっています。任意保険の損害保険会社も,基本的に,自賠責の判断に従った査定をしてきます。なので,非典型的な障害については,事実上,裁判所に救済を求めるしかありません。上の裁判例は,報道の限りでは,結局,裁判所がどの程度の障害等級を認めたのかが判然としません。ただ,手・肩の障害を,単なる運動機能障害として評価するのではなく,それに加えて,言語機能の障害としても評価するべきだとの判断を示したことは間違いありません。これは,卓見と言うべきでしょう。被害者の苦しみを真っ正面から受け止め,正当かつ公平に評価した裁判所と,被害者の辛さをすくい取って,裁判所を説得した原告代理人に,敬意を表します。その後,2009年12月14日の報道によれば,この判決は,そのまま確定したようです(双方とも控訴せず)。

自賠責保険は,類型的・定型的判断をするのが特徴です。
類型・定型にあてはまる障害なら,簡易・迅速に認定されるのが,良いところです。
しかしながら,非典型的な障害については,途端に,硬直的で融通が効かなくなります。
交通事故をめぐる法律問題は,良くも悪くも自賠責を中心とするシステムができあがっています。
任意保険の損害保険会社も,基本的に,自賠責の判断に従った査定をしてきます。
なので,非典型的な障害については,事実上,裁判所に救済を求めるしかありません。
上の裁判例は,報道の限りでは,結局,裁判所がどの程度の障害等級を認めたのかが判然としません。ただ,手・肩の障害を,単なる運動機能障害として評価するのではなく,それに加えて,言語機能の障害としても評価するべきだとの判断を示したことは間違いありません。
これは,卓見と言うべきでしょう。
被害者の苦しみを真っ正面から受け止め,正当かつ公平に評価した裁判所と,被害者の辛さをすくい取って,裁判所を説得した原告代理人に,敬意を表します。
その後,2009年12月14日の報道によれば,この判決は,そのまま確定したようです(双方とも控訴せず)。