職人と 経営者

投稿者: | 2012年4月10日

これまで弁護士の一生は,まず数年間のイソ弁(居候弁護士=勤務弁護士)をした後,独立するか,勤務先事務所の経営陣に加わるか,というのが典型でした。
特に,いわゆる町弁の人生は,ほぼこの一択です。

しかし,職人的技量において優秀な弁護士が,必ずしも,経営者として有能である訳ではありません。
好き好きでしょうし,向き不向きもあるでしょう。
職人的性向の強い弁護士にとっては,本来,一生涯を職人として生きるという選択肢も,あった方がいいと思うのです。

なぜこんなことを言うかというと,福岡で,昨年から立て続けに3件の不祥事が起こったからです。
顧客の預かり金を流用した問題です。

大雑把に言えば,事務所経営の失敗から,資金がまわらなくなったのが原因のようです。

とにかく,残念でなりません。

たとえば,預り金管理を透明化する制度を作るのも,懲戒権を強化するのも,現実的には,限界があります。

根本的には,選択肢を増やす必要があると思うのです。

一旦独立しても,経営が芳しくなければ,事務所をたたんで,どこかのイソ弁に戻る。
そのようなルートがあれば,救われる弁護士も,防がれる被害も,少なくないはずです。

弁護士会が受け皿となってマッチングするのが理想ですが,会に,多くは期待できません。

では,私的にはどうか。
たとえばうちの事務所で,キャリアのある弁護士を雇い入れることはできるか?
業務分担と歩合給の制度を調えれば,何とかなりそうな気がします。
他の事務所でも,十分,できるはずです…。

いずれにしても,今回の3件で,打ち止めにしてもらいたいものです。