交通事故という社会現象

投稿者: | 2011年11月9日

損保協会,「自動車保険データにみる交通事故の実態」を作成
(2011.6.8 サーチナ 情報提供:新日本保険新聞社)

日本損害保険協会は,交通事故を経済的損失の観点から捉えた報告書「自動車保険データにみる交通事故の実態」(2009年4月~10年3月)を作成した。
それによると,09年度の交通事故による経済的損失額は3兆2069億円(物的損失額:1兆7108億円,人身損失額:1兆4961億円)と推計。この額は,国民1人当たりに換算すると年間約2万5000円と,非常に大きな社会的損失となっている。
また,加害者年齢ごとに,免許保有者1万人当たりの経済的損失額をみてみると,60歳以上,特に70歳以上については著しく増加。高齢の免許保有者も増加しているため,高齢運転者による経済的損失額は増加することが予想される。

損保協会では,交通事故の削減に向け,交通安全の啓発活動や政策提言を行っているが,その一環として,この報告書では,交通事故に起因して直接的に発生する自動車保険の保険金データを分析することで浮き彫りとなった交通事故の実態を解説し,交通事故のリスク削減のための提言を発信している。
報告書は,ホームページからダウンロードすることができる。

【報告書における提言】
(1) 交通事故による死亡者が減る一方で後遺障害者数は増加しており,交通事故による社会的コストは年間3兆2069億円と,依然として高水準である。交通事故による社会的コストを削減するためには,後遺障害への軽減対策も必要である。
(2) 高齢運転者の交通事故による経済的損失額が急増している。高齢者に対する交通安全対策は,歩行者としての視点に加え,運転者としての対策が必要である。
(3) 受傷部位では,受傷者数の多い頸部・頭顔部に加え,重症化しやすい腹部への対策が必要である。乗車中の腹部受傷の危険を回避するためには,適切にシートベルトを着用することが重要である。
(4) 構築物衝突による車両単独事故は,事故件数が減少している一方で,損害物数が全年齢で増加しており,対策が必要である。
(5) 16~19歳の若年層は,免許保有者1万人当たりの人身事故被害者数が最も高い。その事故類型は,スピードの出しすぎによる追突の割合が高く,運転者の責任や交通マナーについて理解を深める教育が必要である。

という,保険会社サイドからの見方があります。
これに対して,ある種「放言」ではありますが,有名人の発言として下記を引用します。

養老孟司氏「命が大事なら禁煙運動より自動車反対運動しろ」
(2011.9.6 NEWSポストセブン)

昨年の一箱100円以上値上げという大増税に続き,今年4月には神奈川県で罰則付きの受動喫煙防止条例が完全施行された。分煙化への大きな流れは抗い難いとはいえ,異論を許さぬ禁煙礼賛の空気はファッショ的な危うさをはらんでいる。愛煙家で知られる養老孟司氏が,紫煙なき社会の先にある危うさを指摘する。
(中略)
健康至上主義がはびこる一方で,日本では交通事故で毎年5000人が亡くなり,自殺で3万人が亡くなっている。いくら健康に気をつけていても,明日,クルマに轢かれて死んでしまうこともあるのだ。本当に国民の命が大事だというのなら,禁煙運動より先に自動車反対運動をしたらどうか。自動車だって排気ガスで大気汚染を引き起こしている。私には石油業界と自動車業界がたばこをスケープゴートにしているようにしか見えない。

常々思うのは,交通事故を減らすことは,理屈の上では,簡単だということです。

たとえば,自動車税を数倍にする。それだけで,交通量が減ります。

たとえば,運転には,運転手以外に,補助者(見張り役)の同乗を義務づける。

たとえば,道路はすべて一方通行,交差点は立体交差として,指定道路以外の通行を禁止する。

どれも,理屈上は可能で,実際上は不可能な政策です。
日本の屋台骨を支える自動車産業が,壊滅するからです。

自動車運転は,何百キロもある金属の塊を,高速度で進行させる行為です。
あまりに日常に溶け込んでいるため,意識が薄れてますが,それ自体,本来,極めて危険な行為です。

政策的に,放置された危険が,そこかしこに転がっている。
ならば,事故の被害者には,せめて十分な補償が為されるべきでしょう。

世の中には,任意保険に加入せずに,自動車を運転するバカがいる。
どんな事情があろうと,言い訳できることではない。
しかし,実際,少なからずいるのが,現実です。

せめて,人身傷害特約に加入するなどの対策を,とっておくべきです。
※人身傷害特約:事故の被害者になった時に保険金が出る。自動車保険に付帯できます。