民法(親族法)改正案

投稿者: | 2010年2月20日

★選択的夫婦別姓:法務省が改正案概要 法相「覚悟決める」
(毎日新聞2010年2月19日より)
選択的夫婦別姓を盛り込んだ民法改正案の概要を法務省は19日,政策会議で与党議員に提示した。改正では,非嫡出子の相続差別解消なども併せて提案する。選択的夫婦別姓を巡っては国民新党代表の亀井静香金融・郵政担当相が反対を表明して閣内の足並みがそろっておらず,改正案を今国会に提出できるかは不透明だ。しかし,実現に強い意欲を示す千葉景子法相は,同日の閣議後会見で「覚悟を決めてぜひやりたい」と述べた。

★離婚後300日規定:賠償訴訟 「違憲ではない」 岡山地裁,両親の請求棄却
(毎日新聞2010年1月15日より)
「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子」とする民法772条の規定は,憲法の「法の下の平等」に反するとして,岡山県総社市の両親が国と同市に330万円の賠償を求めた訴訟の判決が14日,岡山地裁であった。古賀輝郎裁判長は「規定には合理性があり,違憲ではない」として請求を棄却した。
 判決によると,母親は前夫との離婚後221日目の2008年11月に現夫との間に女児を出産したが,民法の規定により,現夫の子とする出生届が不受理とされた。さらに離婚前の妊娠だったため,「300日以内の出産でも,離婚後の妊娠と医師が証明すれば受理する」との法務省通達による救済からも外れた。
 このため女児は無戸籍となったが,09年2月に岡山家裁倉敷支部で認知調停が成立,現在,無戸籍は解消されている。
 原告側は「離婚が遅れたのは前夫が応じなかったためで女児に責任はなく,法の下の平等を定めた憲法に違反する」と主張したが,古賀裁判長は「無戸籍状態を避けるための法的手続きがあり,今回も認知調停により無戸籍は解消されている。不受理が原告に不利益をもたらしたとは言えない」などと述べた。

民法(親族法)改正案は,選択的夫婦別姓制度の導入を中心的論点としています。 また,上記判例のように裁判所が一貫して肯定する「女性の再婚禁止期間」制度について,制限を緩和することも,実際上,重要です。

ただ,法律家としては,それにも増して,次の2点に関心を持ちます。
1つは,相続における非嫡出子(婚外子)差別の廃止です。この問題について,「女性の再婚禁止期間」と同じく,裁判所は一貫して肯定してきました。それを,法改正で,変更しようというものです。
もう1つは,別居を離婚原因として明記することです。この点,一定期間の別居が離婚原因になり得ることは,裁判例の多くで認められています。法改正で,これを明確かつ一義的な基準に引き上げようとするものです。
いずれも,家事紛争の実務における影響は,図り知れません。

※追記:今国会での成立は,見送られました。

【民法(親族法)改正案の要旨】
1 選択的夫婦別姓制
 (1) 夫婦は婚姻時に同姓か別姓かを決定
 (2) 決定後は,同姓から別姓・別姓から同姓への転換は不可
 (3) 別姓夫婦の子どもの姓は,夫婦いずれかに統一
 (4) 既に婚姻している夫婦が別姓に変更できる期間は施行後1年(子どもの姓はそのまま)

2 婚姻における男女平等化
 (1) 女性が結婚できる年齢を「16歳以上」から「18歳以上」に引き上げ
 (2) 女性の再婚禁止期間(現行6カ月)を,100日に短縮

3 家事紛争に影響する重大な変更
 (1) 裁判上の離婚原因に「婚姻の本旨に反する5年以上の継続別居」を追加。
 (2) 婚外子への相続を嫡出子の2分の1とした現行規定を撤廃して同一化。