(asahi.com2010年1月19日より)国の抽象的な基準をもとに知的障害の程度を過小に評価され,障害基礎年金の支給を認められなかったとして,滋賀県の知的障害者6人が国を相手に処分の取り消しを求めた訴訟の判決が19日,大津地裁であった。石原稚也(ちがや)裁判長は,基準の不備は認めなかったが,6人全員の障害について「年金受給の程度に達していた」と判断し,不支給処分を取り消した。判決によると,6人は2003~05年度,障害基礎年金の支給を請求したが,同県の草津社会保険事務所(現草津年金事務所)は,障害基礎年金2級に該当しないとして,不支給処分を決定した。しかし,原告6人のうち5人が06~08年度に再請求すると,一転して支給が認められた。原告側は,(1)国民年金法施行令の等級表は,知的障害や精神障害について身体障害の程度と比較して判断するように定めており抽象的,(2)等級表を補足する厚生労働省の実務用の認定基準内容も具体的でなく,「認定者の主観で結論が左右される余地がある」などと訴えていた。判決は,知的障害をめぐり「日常生活における身辺の処理にも援助が必要なもの」を障害基礎年金2級などと定めた厚労省の認定基準は「最新の医学的知見に基づく意見から定められたもの」と合理性を認めた上で,6人の障害の程度を個別に判断。再請求で年金支給が認められた5人については障害の程度が「最初の請求時と基本的に変わりなかった」と指摘し,残る1人も他の原告より日常生活能力が高いとは言えないとして,当初の不支給処分を取り消した。
障害年金認定の処分取消をした事例は,珍しいです。このケースは,(一部を除き)再請求で年金支給を認めたという経過があったようで,原告らは,「何で最初から認定しなかったのか…」と思われたことでしょうね。 国の基準の抽象性を争点とされていることからも,そのような思いが伝わってきます。どのような制度でも,ギリギリの限界事例はあります。そういったケースでは,裁判に至ることはやむを得ない部分もあります。しかし,再請求で年金支給を認めた本ケースは,そういったギリギリのケースでさえ無かったのかもしれません。裁判で救済されたとは言え,裁判まで至ったこと自体,残念です。
障害年金認定の処分取消をした事例は,珍しいです。
このケースは,(一部を除き)再請求で年金支給を認めたという経過があったようで,原告らは,「何で最初から認定しなかったのか…」と思われたことでしょうね。 国の基準の抽象性を争点とされていることからも,そのような思いが伝わってきます。
どのような制度でも,ギリギリの限界事例はあります。そういったケースでは,裁判に至ることはやむを得ない部分もあります。
しかし,再請求で年金支給を認めた本ケースは,そういったギリギリのケースでさえ無かったのかもしれません。裁判で救済されたとは言え,裁判まで至ったこと自体,残念です。