(日経ネット2010年1月13日より)
帝国データバンクは,2001年~2009年における「老人福祉事業者(※1)」と「医療機関(※2)」の倒産(法的手続のみを対象)の動向について調査・分析した。
※1:養護老人ホーム,特別養護老人ホーム,軽費老人ホーム(ケアハウスを含む),老人福祉センター,老人デイサービスセンター,老人短期入所施設の運営および,移動入浴サービス,在宅介護サービス(医療は行わず日常生活の介護)を行っている事業者を対象
※2:病院・診療所・歯科医院を対象。「病院」=病床数20以上,「診療所」=病床数20未満で区別2009年の倒産は,「老人福祉事業者」が32件,「医療機関」が52件となり,ともに過去最高となった。
老人福祉事業者の倒産は,2006年は7件だったが2007年以降急増し,2009年までの3年間で4.6倍に膨らんだ。
2000年4月の介護保険法の施行が大きなきっかけとなって新規参入する企業が相次ぎ,市場は拡大したが,徐々に競争が激化。老人ホームでは,入居一時金の引き下げや入居率の低下などを招いた。 さらに2006年4月に改正介護保険法が施行。介護報酬の引き下げに加え,施設サービスにおける居住費用・食費が介護保険給付対象から除外されるなど,業者の置かれる経営環境がさらに悪化したことが2007年以降の倒産急増の要因になったと考えられる。一方,医療機関(病院・診療所・歯科医院)の倒産件数は,2002年以降の増加傾向のなか,2007年には病院の倒産急増が大きく影響し,48件に達した。翌2008年は35件と多少落ち着きをみせたものの,2009年は,2007年を上回る52件となった。
主に,「診療所」(26件)と「歯科医院」(15件)が,競争激化に伴って淘汰されたのが原因と考えられる。来年度,10年ぶりに診療報酬が引き上げられるものの,総枠でみた場合,引き上げ率はごくわずかにとどまるため,医療機関の経営を好転させる大きな要因になることは期待されにくい。
医療法人制度の改革に伴い2008年3月期分から医療法人の決算書が閲覧可能になったことを受けて,これまで病院を選択する際に重点が置かれていた臨床技術・施設面に加え”財務面”での要素が徐々に重要視されていくことが予想される。
老人福祉事業者・医療機関の倒産が,2009年は,いずれも過去最高だったようです。
特に,老人福祉事業者の倒産は,3年で4.6倍に増えてます。
記事では母数が見えないため,どの程度の状況なのか,正確に判断できません。 しかし,他ソースの情報からしても,老人福祉事業も医療も,極めて厳しい経営環境にあることが窺われます。
入居先・入院先の施設の財務が破綻に瀕していたら,とても,良好なサービスは期待できません。
まして,倒産されたら,サービスの提供を受けられなくなってしまいます。
記事のように,”財務面”の要素も,十分に検討すべきかもしれません。
どの業種にも当てはまりますが,国の予算に頼った事業は,国の都合で経営環境が左右されます。
全く同じに,国民1人1人も,国に頼っていたのでは,国の都合に振り回されます。
特に若い世代では,年金等の公的給付のみに頼る人生計画は,なるべく避けたいところです。