【8/21】自転車事故:歩行者との事故,過失相殺認めず 自転車側に高額賠償

投稿者: | 2010年8月24日

(毎日新聞2010年8月21日より)
 自転車の車道走行ルールを厳格化するため道路交通法が改正された2007年以降,自転車で歩行者をはねて死亡させたり重傷を負わせた場合,民事訴訟で数100万~5000万円超の高額賠償を命じる判決が相次いでいる。
 これと並行して東京や大阪など主要4地裁の交通事故専門の裁判官は今年3月,「歩道上の事故は原則,歩行者に過失はない」とする「新基準」を提示した。

 自転車は道交法で「車両」(軽車両)と規定され,従来,原則 車道走行だが定着せず,歩道での自転車と歩行者の事故が急増。 このため2007年6月成立の改正道交法(2008年6月施行)で,歩道を走れる条件を明確にし,車道走行のルールを厳格化した。
 高額賠償が相次ぐ背景には,この厳格化を司法が酌み,加害者の自転車に厳しい態度で臨んでいることがあるとみられる。
 こうした流れの中,交通訴訟を専門的に扱う部署のある6地裁(東京,横浜,名古屋,京都,大阪,神戸)のうち,京都,神戸を除く4地裁の裁判官は今年3月,法律雑誌で誌上討論。 歩道上の事故については,道交法で自転車の走行が原則禁止され,通行できる場合も歩行者の安全に注意する義務があることから,「事故の責任は原則,自転車運転者に負わせるべき」で,運転者が児童や高齢者でも変わらない,との認識で基本的に一致した。
 「新基準」につき,あるベテラン裁判官は「各地裁は参考にしていく」と,その影響力を指摘。 別の裁判官は「自転車には非常に厳しいが,自転車の台数増加など事故の要素が多くなっていることを受けたものだろう」と評した。

 社団法人「自転車協会」の調べでは,全国の自転車保有台数は2008年3月時点で約6910万台。 最近10年で約398万台増えた。
 警察庁によると,2009年の自転車関連事故は15万6373件で,交通事故全体の21・2%を占める。 自転車事故の増減はこの10年ほぼ横ばいで,8割以上は対自動車だが,対歩行者事故に限ると,1999年の801件から2009年は2934件。 10年間で3・7倍に激増した。 自転車同士の事故も,2009年は3909件で,10年前の4・4倍に増えている。

 自転車側が過失の大きい「第1当事者」となった2万4627件のうち,未成年の占める割合は39・6%。 訴訟では13歳前後から賠償責任を負うとの判断が多く,未成年が高額な賠償を求められかねない実情が浮かぶ。 これらを含め,自転車側に法令違反があったのは,自転車事故全体の3分の2に及んだ。

 道路交通法で,自転車は,車両の一種です。 (1)13歳未満か70歳以上か体が不自由な人が運転する場合,(2)路上駐車があるなど車道や交通の状況からやむを得ない場合,を除き,原則として,車道(その左側)を走らなければいけません。
 自転車に乗る人にとっては危ない感じがするかもしれません。 また,車を運転する方から見ても,自転車は危なっかしいです。
 にもかかわらず,法が,自転車の歩道通行を原則禁止としているのは,何より,歩行者の安全を優先するためです。

 実際,危ない運転をする自転車をよく見かけます。
 記事によれば,歩行者との衝突事故,自転車同士の衝突事故が急増しているよう。 その原因の1つは,携帯電話だと思います。
 携帯電話で話しながら自転車に乗る人,ともすると,携帯メールを打ちながら乗る人を,よく見掛けます。 そりゃ,ぶつかります。

 この記事は,木鐸記事として,有意義です (本当は,歩行者事故急増の原因の分析まで,つっこんで欲しいところですが)。 ただ,若干,不正確な部分があります。
 実は,自転車事故で数千万円規模の損害賠償となるケースは,昔から,しばしば あるのです。
 歩行者等に衝突し,相手の怪我が重ければ,賠償金額は高額になります。 自転車であっても,衝突態様・転倒態様によって,大怪我を負わせることがあります。

 誰にも生じ得ることです。 自転車を運転する方は,重々,注意するのは当然ですが,それと併せて,是非,保険加入をお勧めします。