【6/29】葬儀場訴訟:「出棺,受忍限度超えない」 近隣男性敗訴

投稿者: | 2010年7月21日

(毎日新聞 2010年6月29日より)
 京都府宇治市の葬儀場の近隣男性(53)が「家の2階から出棺の様子が見え,精神の平穏を害されている」として目隠しフェンスを高くすることなどを求めた訴訟の上告審で,最高裁第3小法廷(堀籠幸男裁判長)は29日,フェンスを1.2メートル高くするよう命じた1,2審判決を破棄し,男性の請求を棄却した。判決は「社会生活上の受忍限度を超えていない」と判断した。男性の逆転敗訴が確定した。

 小法廷は,▽出棺の様子が見える場所は原告宅の2階に限られる,▽葬儀の実施は月20回程度,▽ひつぎの搬入と出棺は速やかに短時間で行われている-ことなどを挙げ,「原告が強いストレスを感じているとしても,平穏に日常生活を送る利益を侵害しているとまでは言えない」と述べた。

 1,2審判決によると,男性は94年に自宅を新築,05年に道を挟んだ東側に葬儀場がオープンした。男性は「出棺の様子が見えてしまうので,2階の窓とカーテンを閉め切るなど日常生活に相当の影響を受けている」と主張。葬儀会社側は「葬儀場は高度な公共性がある。フェンスを高くするには,費用がかかるうえ,威圧感が増す」と反論していた。

「受忍限度」に関する限界事例です。
近隣の紛争では,基本が「お互い様」であり,「受忍限度」を超える場合のみ,差止め等の問題が生じるというのが裁判所の考え方です。
ただし,この「受忍限度」は,ケースバイケースで判断するしかありません。

日常的に出棺の様子が見えるなんて,たまらないですね。 1審,2審は,受忍限度を超えているとの判断を示しました。
これを,最高裁が覆した訳です。
このような,評価に関わる部分で,1審,2審の判断を最高裁が覆すのは,珍しいと思います。

事例として,参考になります。