(産経ニュース2010.6.17より)
証券取引等監視委員会は17日,オリジナルの不動産投資ファンドで顧客に損失が出る可能性について十分に理解せずに販売するなど内部管理態勢に重大な不備があったとして,大阪市に本店を置く東証2部上場の高木証券に対し,行政処分を行うよう金融庁に勧告した。 金融庁の処分は1週間程度で出るとみられる。監視委によると,対象のファンド「レジデンシャル-ONE」は,顧客からの出資金に金融機関からの借入金を加えて3大都市圏のマンションに投資し,3年間運用して半年ごとに賃料収入を分配する仕組み。平成15年6月の販売開始から19年11月の終了まで6220人の顧客に総額527億円が販売され,購入者の41%は70歳以上だった。
金融機関からの借入金を加えることで運用額が膨らみ,償還時も借入金の返済が優先される。このため,不動産市況が悪化するなどした場合,顧客の損失は大きくなるが,監視委が販売実績のある営業員34人を抽出して調べたところ,31人が仕組みを理解していなかった。
営業員向け勉強会や研修などでもファンドのメリットを強調した説明が中心で,顧客の損失が膨らむリスクについては説明されなかったという。このファンドをめぐっては,損失をこうむった個人投資家100人以上が東京,横浜,大阪の各地裁で,高木証券に損害賠償を求める訴訟を起こしている。
監視委の検査は昨年10月から約8カ月に及び,検査結果が17日,監視委から高木証券に通知された。同社は「勧告を厳粛に受け止め,問題の改善を図り,内部管理態勢の強化に全力で取り組む」とのコメントを発表した。
不動産投資として,REITに近い金融商品です。 この商品自体は,とりわけ変なものではないようです。
ただ,銀行借入して,レバレッジを効かせる仕組みですから,当然ながら,損失にもレバレッジが効きます。
投資した人は,銀行からの借主に等しい立場になるので,資産・資金について,銀行への返済の方が優先されるのも当然でしょう。
常識として,メリットは,必ず,拮抗するリスクを伴うものです。
証券会社の社員ですから,詳細な仕組みはともかく,一般論として,それくらいは分かっていたはず。
なのに,自分で調べず,理解せずに,会社に言われるまま,「メリットを強調した説明」にて顧客に売っていた…。 あんまりです。
2部上場の証券会社が取り扱う商品ですら,こうです。
うまい話には,必ず,裏(リスク) があります。
2部上場の証券会社の営業社員ですら,こうなんです。
うまい話は,うまい部分しか,話しません。
まして,amebaにも巣くう,有象無象の詐欺サイトなんて…。
結局,裏(リスク) 読みするクセと,理性をもって,自己防衛するしかないんですけどね。