(共同通信2010/06/10より)
日本証券業協会は10日,未上場企業が上場前に自社株の購入を個人投資家に持ち掛けた場合,株式の上場ができなくなるよう協会規則を改正する案をまとめた。未公開株をめぐる詐欺が多発している事態を受け,被害の防止に役立てる。一般からの意見募集を経て7月20日から施行する。日証協によると,通常,上場前の会社が個人投資家に株券を勧誘することはない。しかし高齢者が,架空の公開話による詐欺被害に遭うケースが後を絶たないため「協会規則の強化によって,未公開株勧誘があり得ないことを周知する」と狙いを説明している。
今回の規則改正では,協会加盟の証券会社が,未公開株の勧誘をした企業について「株券の募集や売り出しの引き受けを禁止する」とした。同協会によると,消費生活センターなどに届く未公開株トラブルの相談のうち,約4割は発行会社が直接勧誘するケースという。発行会社による募集を装った場合,たとえペーパーカンパニーでも勧誘行為自体を禁止する規定がないという法の不備が指摘されている。
「株式公開予定」という触れ込みで,未公開のクズ株を売りつける手口の詐欺は,よく聞きます。
「株式公開予定」の企業が,資本増強等のために新たに出資(株主)を募ることは,あり得ます。
ただ,通常は,ベンチャーキャピタルとか,安定株主になるような取引先企業などに,話が行きます。
個人の株主を募集する企業は,ベンチャーキャピタルなどから相手にされていない,ということです。
未公開株は,株式上場によって,大きく価値が跳ね上がることが多いのは確かです。
ただし,未公開株は,事実上,未公開のままでは価値はなく,転売もできません。
まさに,ハイリスク・ハイリターンの極致です。
ベンチャーキャピタルなどから相手にされていない企業が,もし本当に公開までこぎつけるならば,宝くじ並みの利益が得られるかもしれません。 もちろん,当選確率も,宝くじ一等 並みです。
記事の,「未上場企業が上場前に自社株の購入を個人投資家に持ち掛けた場合,株式の上場ができなくなる」との規制は,未公開株詐欺への対策としては,それなりに有効だと思われます。
ただし,周知されるまでの間,移行・準備期間の間に,「もうすぐ買えなくなりますよ」(微妙な論点のすり替え)などと言いながら,「最後の勝負」をするのが詐欺グループの手口です。
詐欺と規制はイタチごっこですから,そのうち,何らか 潜脱的な手口も出てくるでしょう。
いずれにしても,個人の方は,未公開株なんて,宝くじと同程度の(あるいはそれよりも更に確率の低い),余興だと考えるべきです。
「夢を買う」という意味では,”月の土地”と同じレベルです。
重々,お気を付けください。