【6/10】道路管理者の責任が認められた事例

投稿者: | 2010年6月12日

静岡の国道凹凸事故,賠償増額 過失割合軽減で8800万
(共同通信2010/06/10より)
 静岡県藤枝市の国道1号で2003年,ミニバイクを運転中にバランスを崩して街路灯に衝突した重体事故は路面の凹凸が原因だとして,男性(32)と家族=同県島田市=が国に計約1億9500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で,東京高裁は10日,約6800万円の支払いを命じた一審判決を変更し,賠償額を約8800万円に増額した。
 渡辺等裁判長は男性の損害額を昨年6月の一審静岡地裁判決と同様に計約1億2000万円としたが,前方不注意などによる過失相殺の割合を5割から3割5分に引き下げて認容額を算出した。
 判決理由で渡辺裁判長は「現場はわが国を代表する主要幹線道路で,構造や路面の安全性は極めて厳格に要求される」と指摘。過失割合軽減の理由を「男性にとって,進路前方の凹凸は思いもよらぬものだったと認められる」と述べた。
 判決によると,男性は03年9月,最大7センチの凹凸の高低差に気付かないまま国道1号の交差点を通過したところ,バランスを崩して道路脇の街路灯に衝突。脳などの重い障害で寝たきりとなった。

市道の段差でフェラーリに傷 伊丹市が修理代支払で示談
(asahi.com2010年6月10日より)
 イタリアの高級スポーツカー「フェラーリ」で兵庫県伊丹市の市道を走行中,でこぼこの路面で車体の底に傷がついたと訴えた男性に対し,市は修理代の一部約56万円を支払うことで示談した。藤原保幸市長が専決処分し,10日の市議会に報告した。
 市によると,伊丹市北伊丹5丁目の市道で2月7日夜,大阪府豊中市の男性が運転するフェラーリの車体底部が路面中央の段差(約8センチ)にあたり,損傷した。車高を低くするなどの改造はされていなかった。現場は大型トラックなどが信号待ちで頻繁に止まるためわだちによって段差ができていたが,通常の国産車なら問題は起きないという。
 伊丹市は2日後に段差を埋め,5月に入って本格的に補修した。市道路保全課の担当者は「道路管理に不備があり,過失を一部認めた。これまで以上にしっかりと道路の点検をしたい」と話した。

 損害の内容は大きく異なりますが,過失の内容が共通するため,一緒に紹介します。
 上の例は国道で最大7センチの凹凸,下の例は市道で約8センチの段差,です。
 国道は国が管理責任を負うので国が,市道は市が管理責任を負うので市が,被告です。

 7~8センチの段差は,管理責任上,問題だというのが,両者に共通した結論です。
 ただし,上の例では,被害者の方にも,事故回避が可能だったはずとの理屈で,35%の過失割合が認められました。
 下の例でも,詳細不明ですが,「修理代の一部」という表現から,一定の過失相殺が前提とされたものと思われます。

 事例として,参考になります。