(毎日新聞2010年6月1日より)
クレジットカードで買わせた商品を安く買って現金を渡す「クレジットカード現金化」のトラブルが増えている。
貸し付けを年収の3分の1に制限する貸金業法の改正で,新規融資を受けられなくなった多重債務者の利用が目立つが,受け取る以上の借金が残ることは同じ。
宇都宮健児日本弁護士連合会会長は「規制する法律はないが,明らかに犯罪。取り締まりが必要になるのではないか」と語る。国民生活センターによるとカードの現金化に関する相談は貸金業法が改正された06年度は86件だったが,09年度は228件に急増。相談者の4人に1人が多重債務者で,貸金業者から融資を受けられず,切羽詰まって利用するケースも目立った。
現金化の仕組みは単純だ。 例えば,カード所有者が50万円のパソコンを購入し,そのパソコンを買い取り業者に35万円で買ってもらう。利用者はいったんは35万円を手にするが後日,カード会社から50万円を請求される。当座の35万円を得るために50万円の債務を負うことになり「高金利の融資と変わらない」(業界関係者)。
換金目的のクレジットカード使用は,カード会社が規約で禁じており,詐欺罪に問われる可能性もある。最近は,換金目的とみられないよう,商品購入に伴う「キャッシュバック」という手法も増えている。 例えば,自社製CD-ROMなど価値がはっきりしない商品を買わせ,おまけに現金を渡す。 建前は商品の売買でも,実際は換金目的で,利用者に債務が残ることに変わりはない。
国民生活センターは,「絶対に利用しないで」と呼び掛けている。
ネズミ講と「マルチ商法」の関係のように,金融業者が商品売買の体裁を取り込んだ場合,しっぽがつかみにくいです。 このため,このような手口を使う闇金融は,無くなりません。
記事の説明を補足すると,たとえばパソコンは,闇金融が販売店・買取業者とグルになって,販売→未開封品買取り,という形を作って,販売価格と買取価格の差額金を掠め取り,パソコン自体は使い回すというのが典型です。 ひどいケースでは,闇金融業者が単独で,販売→買取りを書類上のみで行った形にすることもあります (記事の「キャッシュバック」というのも,これに近い手口です)。
この手口は「取り込み詐欺」と言われ,クレジットカード会社との関係で,詐欺罪 (金融業者とカードの持ち主との共犯) として摘発される可能性があります。
つまり,利用者にとっても,「一線を踏み越える」行為です。
新品を買って,中古として売るのだから,その差額 (負担) は,3割 4割 当たり前という世界です。
多くは1回こっきり,複数のカードを使用しても,数ヶ月以内に,確実に破綻します。
そして,破産を申し立てるとき,「取り込み詐欺」は,免責不許可事由となることがあります。
「藁をも掴む」気持ちでしょうが,実際は,「泥の舟」なのです。
amebaの中にも,カード現金化の広告サイトが潜んでいます。
「カード現金化の経験者として,安全なところを紹介する」という体裁のサイトもあるので,悪質です。
重々,気をつけてください。