【5/28】ドン・キ放火:従業員遺族の請求棄却…消防職員に過失なし

投稿者: | 2010年6月2日

(毎日新聞2010年5月28日より)
 さいたま市の大型量販店「ドン・キホーテ浦和花月店」で04年に起きた放火事件に絡み,焼死した従業員3人の遺族4人が「市消防局の不適切な対応で逃げ遅れたのが原因」として計1億8900万円の賠償を市に求めた訴訟で,さいたま地裁は28日,請求を棄却した。
 片野悟好裁判長は判決で「消防職員に過失はない」と述べた。

 原告は,店内から119番した女性(当時20歳)らの遺族で「通報を受けた職員が,避難指示を怠った」などと主張した。 しかし判決は「他の従業員は避難しており,通報中に危険な状況だったとは言えない。市の規定に沿って必要事項を尋ねた職員の対応に義務違反はない」と退けた。 遺族側は控訴する方針。
 事件は04年12月13日午後8時15分ごろ発生。現住建造物等放火罪などに問われた無職の渡辺ノリ子受刑者(52)は08年,最高裁で無期懲役刑が確定した。

 火は,想像以上に急速に拡大することがあります。
 火の専門家である消防は,火の素人である通報者に対し,通報電話という局面において,どの程度の指示を為すべきか。
 なかなか難しい問題です。

 裁判所は,消防職員の過失を否定しました。
 実際,通報電話にて,通報者の状況を正確に把握することはできないのではないか,消防職員が助言するとしても,「危なかったら,速やかに逃げて下さい」と言う程度にとどまらざるを得ないのではないか,それを言うかどうかで,果たして,通報者の行動は変わるのか。
 裁判所は,そういったところを考えたのだろうと思います。

 いずれ,控訴審で,どのように判断されるのか,注目されます。