アスベスト被害で2400万円賠償命令 介護に慰謝料初認定 大阪地裁

投稿者: | 2010年4月21日

(産経ニュース2010.4.21より)
 アスベスト(石綿)粉塵の対策が不十分だったため,石綿肺や肺結核にかかったとして,車両部品製造会社「渡辺工業」(大阪府和泉市)に,元従業員(80)と長女(63)が計3630万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が21日,大阪地裁であった。田中敦裁判長は「自らの仕事を犠牲にして,寝たきりの母親の介護を余儀なくされた」として,介護していた長女への慰謝料110万円を含め,計2400万円の支払いを命じた。
 長女は介護のため,1年の3分の1以上,欠勤や遅刻せざるを得なくなり,平成20年7月に勤務先を依願退職した。
 元従業員は泉南アスベスト国賠訴訟の原告も兼ねており,同訴訟は来月19日に判決が言い渡される。

 渡辺工業の話 「被害者には治ってほしいが,石綿被害は国の長年の対応の不備が原因。経済成長を優先させ,国が大企業の声に耳を傾けたことで規制が遅れた。正しい情報が早く伝わらなかった労働者や小企業は共に被害者で,健康被害の責任の大部分は国にある。国の責任こそ明らかにすべきだ」

 損害は,被害者本人のみに生じるのが原則です。
 ただし,民法711条は,生命侵害の場合について,「被害者の父母,配偶者及び子」に,損害賠償請求権を認めています。
 この民法711条の類推として,生命侵害ではないが重大な被害の場合について,損害賠償請求権が認められることがあります。

 記事の事案は,「寝たきりの母親の介護」のケースです。
 裁判所は,事案を丹念に見て,慰謝料を認めるのが相当だと判断しました。
 慰謝料の金額は,近親者損害賠償のケースで,一般的なものです。