(毎日新聞2010年4月1日より)
大手精米機メーカー「東洋精米機製作所」(和歌山市)の子会社「トーヨー食品」(同市)が,経営状態を健全と偽った決算書を提出したため,総額20億円を超す貸付金が回収不能になったとして,3金融機関がトーヨー食品や同製作所社長らを相手に,総額約22億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日,和歌山地裁であった。
大西嘉彦裁判長は「粉飾決算が認められ,額も極めて多額」として融資金の返還を命じ,うち約13億円について同製作所や社長らに連帯して支払うよう命じた。判決によると,トーヨー食品は95年から10年間,経営破綻していた販売先から受け取った小切手を預金に計上するなどして粉飾。3金融機関は同社側から説明を受けるまで気づかず,多額の融資を行った。
この手の話はいくらでもあります。
会計士さんたちに言わせると,この手の単純な手口の粉飾は,帳簿を見ればすぐに分かる,とのこと。
少なくとも,作為的な帳簿については「何か変だ」と感じるもので,その疑念を会社側にぶつければ,真実を追及することは容易である,とのこと。
この手のトラブルが生じるのは,要するに,銀行の担当者が会計についての十分な知識と経験を持っていないからだ,とのこと。
「会計ビックバン」として,会計士の数が大幅に増やされました。 その結果,就職できない会計士が大量に出現している,と言われています。 しかし,企業は,専門職を雇用することに消極的です。
弁護士も,司法改革で,飛躍的に増員されています。 しかし,企業の雇用は少数にとどまっています。
異質な存在を受け入れ,活用することは,日本の企業にとって,もっとも苦手なことの1つでしょう。
果たして,法律や会計などのスペシャリストたちが,企業内で活躍する時代は,来るのでしょうか?