(沖縄タイムズ 2009年11月19日より)
乗用車運転中に遭った追突事故で,脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)などの被害を受けたとして,糸満市の男性(48)が加害者女性に対して,治療費などの損害賠償を求めた訴訟の判決が18日,那覇地裁であった。
田中健治裁判長は,事故と脳脊髄液減少症の因果関係を認め,加害者に対して約2000万円の支払いを命じた。
同疾患と交通事故の因果関係を認めた訴訟判決が明らかになったのは全国5例目。
判決では,因果関係を認めた理由として,(1)ブラッドパッチ治療での症状改善,(2)髄液漏れの個所と事故による腰のけがの位置が一致すること,などを挙げた。
NPO法人「脳脊髄液減少症患者・家族支援協会」(和歌山県)の中井宏代表理事は「全国の裁判に影響を与える画期的判決だ」と喜んだ。同疾患については研究途上の段階で,診断基準が定まっていないことなどから,保険会社が治療を認めないケースがほとんどで,訴訟により救済を求める被害者が多いという。ブラッドパッチ治療の保険適用も認められていない。
厚生労働省も専門家らによる同疾患の発症原因の解明や治療法の研究,ガイドラインづくりに補助金を出し,対策に乗り出した。2010年3月に研究内容が報告されるという。
時折,脳脊髄液減少症のご相談を受けます。
高次脳機能障害や,RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)もそうですが,医学的な研究が十分に進んでいない疾患について,裁判で争っていくことには大きな困難を伴います。
しかしながら,現に苦しんでおられる方がいる以上,弁護士が手を差しのべない訳にはいきません。
利益を守り,権利を実現することは,闘いなのです。