(毎日新聞2010年8月11日より)
2008年,博多区で河川敷に転落して死亡した熊本県玉名市の男性職員(当時32歳)の遺族が,福岡市の橋と道路の管理不備などが転落原因として,同市に慰謝料など約6700万円を求めた訴訟の判決が10日,福岡地裁であった。 増田隆久裁判長は「通常有すべき安全性が欠如していた」として,福岡市に約1300万円を支払うよう命じた。判決によると,事故は2008年6月8日午前1時ごろ,博多区東那珂の御笠川にかかる東光寺橋の南東角部で発生。 男性は,橋の欄干と 川沿い道路に設置されたフェンスの すき間(最大約77センチ)から,約7メートル下のコンクリート河川敷に転落,頭を強く打って死亡した。
増田裁判長は事故現場について「幼児や小中学生,飲酒者や障害者などが現実に通行している状況から,すき間は危険で,事故当時 瑕疵があった」と結論付けた。
道路等は公共財です。 そして,国や地方公共団体が管理の責任を負っています。
道路等は,市民の生活・安全を守るものでなければならない。 それが,市民からの付託です。
だから,道路等に,通常 備えられるべき安全性が欠けていた場合,管理責任を問われるのが当然です。
たとえば,デパート等で1~3階が吹き抜けのところで,3階の手すりに77cmの隙間があったら…。
とても危険です。
周囲の状況等もありますが,やはり,77cmの隙間は危ないと言えるでしょう。
なお,請求金額に比較して,裁判所が認めた金額が小さいのは,恐らく,過失相殺を大きくとったものだと思います。