(産経ニュース2010.6.24より)
商品先物取引会社から受け取った和解金への課税は不当とし,愛知県春日井市の男性(65)が約110万円の課税処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が24日,名古屋高裁であり,処分を取り消した1審名古屋地裁判決を支持,国側の控訴を棄却した。
判決理由で高田健一裁判長は「男性は違法に勧誘された先物取引で,多額の委託手数料を支払わされ損失を被った」と指摘。 1審判決と同様,和解金は不法行為に基づく損害賠償で,所得税法上の非課税所得に当たると認定した。判決によると,男性は商品先物取引会社から受け取った和解金約460万円を所得に含めず平成15年分の確定申告をしたが,小牧税務署は18年2月,雑収入として追徴課税していた。名古屋国税局は「国側の主張が認められず残念。関係機関と協議し上告するか決定したい」とした。
税務訴訟での国側敗訴は,珍しいです。
所得税法9条は,「心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの」を非課税としています。
「政令で定めるもの」とは,所得税法施行令30条です。 同条所定のうち,本件で問題となったのは,「不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金」という規定(2号)の,解釈・あてはめでしょう。
「不法行為その他突発的な事故」という部分につき,「突発的」という表現を重視すれば,たとえば交通事故のような,急迫・外来の事故のみを指すというような感じもします。
しかし,所得税法の趣旨からすれば,そこまで厳格に解する必要があるのかどうか。
いずれにしても,裁判所は,1審・2審とも,非課税の所得と認めました。
実務上,参考になります。