【6/24】日立元社員の発明対価,6300万円支払い命令 東京地裁

投稿者: | 2010年6月27日

(日経新聞2010/6/24より)
 半導体集積回路の大量生産に必要な技術を発明したのに,それに見合う対価を受け取っていないとして,日立製作所の元社員(59)が,同社に6億円の支払いを求めた訴訟の判決が23日,東京地裁であり,清水節裁判長は日立に対し約6300万円の支払いを命じた。

 元社員は「日立が受けているライセンス料などから推定して,発明者に約16億円の請求権がある」と主張し,このうち6億円の支払いを要求。
 日立側は「発明は商業的価値の低いもので,発明対価は報奨金(約2200万円)として支払い済み」と主張していた。
 清水裁判長は発明を基に得られた日立の利益を20億円余りと算定したうえで,利益の大半は日立のライセンス交渉の工夫などによるものと判断。 元社員の利益への貢献度は4%(約8500万円)にとどまるとして,すでに支払われた報奨金を差し引いた約6300万円の支払いを日立に命じた。
 判決によると,元社員は1988年,微細な集積回路をプリントするのに必要な技術を発明。日立は日米韓でこの技術を特許登録した。

 社員の立場で特許技術を発明した場合,相当の発明対価を取得できるということは,判例でも確立しています。
 ただ,問題は,発明対価の程度です。

 一時期,大きな話題となった青色LED事件でも,一審と二審で,対価の評価が大きく異なり,一審から大幅に減額された金額で二審で和解となっていました。
 そもそも,裁判所に,かかる発明対価の適切な算定を判断させることが適当なのだろうか,という気もします。
 特許庁では,現在,発明対価の簡便な算定システムを作ることを計画しているようです。

 なお,本件は1988年の発明ですが,最近は,どこの企業でも,発明対価について予め契約を結んでいることが多いと思います。
 契約によっても,紛争を完全に予防することはできませんが,紛争の減少に資するだろうと思われます。