(asahi.com2010年5月21日より)
石油ファンヒーター火災で3年半前に父親(当時85)を亡くした東京都内の女性が21日,暖房機器メーカーに約1千万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。だが,消防当局が情報を開示していないため,父親が使っていたヒーターがこのメーカー製かどうかは分かっていない。
損害賠償の時効は24日。製品事故では遺族でも情報が明らかにされにくいのが現状で,やむを得ない「見切り発車」の裁判になる。女性によると,盛岡市で暮らしていた父親は2006年12月,住宅火災で死亡した。盛岡消防本部の調べで火元は石油ファンヒーターと特定された。灯油タンクのふたは指先の操作で開け閉めできるワンタッチ式。同本部の説明などから,給油してタンクをヒーターに戻す際,ふたの閉め方が悪く,漏れた灯油に引火したと考えていた。
だが,07年12月,新聞記事でワンタッチ式のふたが「半ロック」でも閉まったと勘違いしてしまう恐れがあることを知った。このメーカーはその後,タンクのリコールを発表した。 父親の火災はタンクのふたの欠陥が原因ではないか…。 疑問を晴らそうと,盛岡地方検察庁から火災現場の調書を取り寄せたが,ヒーターのメーカー名やタンクの型式の記載はなかった。
弁護士と相談し,東京弁護士会から盛岡消防本部に対し,この火災に関する文書のコピーを求めた。しかし,職務上の守秘義務や父親の個人情報であることを理由に書類の開示は断られた。損害賠償の請求権が時効となる直前の昨年11月末,時効を6カ月中断させる民法上の制度を利用した。
今年1月には東京地裁に対し,提訴に必要な文書を同消防本部から取り寄せる手続きをとったが,4月に届いた書類は大部分が黒塗り。メーカー名はわからなかった。 同消防本部は「火災の原因や損害の調査を基につくった書類は火災予防や人命救助,財産保全につなげるためのもので,書類本来の目的を踏まえて判断した」との見解。
時効が迫っていることから,メーカーを提訴し,裁判所から消防本部に対して強制力がある開示命令を出してもらうしか手がなくなった。
石油ファンヒーターのメーカー名が,「職務上の守秘義務や父親の個人情報」なのでしょうか?
あきれます。
「火災の原因や損害の調査を基につくった書類は火災予防や人命救助,財産保全につなげるためのもので,書類本来の目的を踏まえて判断した」とありますが,それが,書類を黒塗りする理由なのでしょうか?
バカげています。
消防は,国民の税金で運営され,公権力をもって活動を行います。
その立場は,合理的な範囲で,説明責任を伴うというのが,健全な社会人の常識的感覚でしょう。
非常識な対応を平気で行う公務員には,怒りを禁じ得ません。