話題:高齢者賃貸住宅

投稿者: | 2010年5月14日

国交省,高齢者賃貸住宅を登録へ 悪質業者排除で
(共同通信2010/05/14より)
 国土交通省は14日,見回りなど生活支援サービスが付いた高齢者向け賃貸住宅に登録制度を導入する方針を固めた。サービス内容に問題があれば登録を取り消すことで,悪質な事業者を排除するのが狙い。
 登録した事業者に対する住宅金融支援機構による建築費の融資拡充や,持ち家から高齢者賃貸住宅に住み替える人への支援策も検討。来年の通常国会に高齢者居住安定確保法改正法案を提出する予定だ。 高齢者限定の賃貸住宅の数は,有料老人ホームなどを合わせ,高齢者人口の約1%に当たる約32万戸。国交省は20年に欧米並みの3~5%,100万戸超を目指している。 前原誠司国交相は14日の記者会見で「今後の住宅政策は高齢者に対する手当てが大切。医療と住宅が近接するモデルをしっかりつくりたい」と述べた。
 高齢者賃貸住宅には,最低限の床面積など設備基準を満たした住宅を任意に登録する制度がある。入居者が家賃を支払わなかった場合,高齢者住宅財団から債務保証を受けることができ,約4万戸が登録している。

どうする終のすみか? 高齢者住宅で新制度 「無届けホーム」増える懸念も
(日本経済新聞2010/5/5より)
 19日から高齢者向けの賃貸住宅の登録制度が変わる。これまでは「高齢者向け」をうたいながら,住宅の面積や設備に基準がなかった。新制度は入居者がどんなサービスをいくらで受けられるかなどの情報提供を拡充する。高齢者が安心して入居できる賃貸住宅の増加を目指すが,一部関係者からは「求められる基準が高すぎる」との声が上がっており,肝心の登録が増えない恐れもでている。
 今回の制度変更は2009年8月に施行された「改正高齢者住まい法」を受けたもの。高齢者の入居を拒まない「高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)」と,高齢者のみが入居できる「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」が対象となる。 1戸あたりの床面積を原則25平方メートル以上と定め,各戸にトイレや洗面,台所などを備えることを施設の提供者に義務付けた。従来は基準がなかったため,高円賃や高専賃と名乗っていても,居室の広さや設備にばらつきがあった。
 また住宅情報の細かい登録が必要になる。各室の間取り図を提出,介護や食事などのサービス内容や対価を明記する。従来は家賃や食費,サービス料金などを明確に分けず一括徴収する住宅も多かったが,入居者には契約内容や料金設定が分かりにくいため,契約書を分ける。入居時に前払い金を取る場合,倒産リスクなどに備えて最大500万円まで保全措置を講じるなど入居者保護を義務付けた。また都道府県が管理状況などの指導をできるようにした。
 高齢者住宅は住み替え需要をとらえて急増し現時点で全国に高円賃は約18万戸,高専賃は約4万戸が登録されている。窓口として都道府県が新制度による登録をすでに受け付けており,19日以降は再登録した住宅だけが高齢者住宅財団のホームページに掲載される。ただし,基準が引き上げられ,事業者の負担が増したことで再登録は遅れている。高円賃・高専賃の登録件数が最も多い神奈川県は「既登録住宅の1割弱しか再登録していない」(県建築住宅部住宅計画課)という。
 未登録のままでは19日以降,高円賃,高専賃の名称が使えなくなる。また未登録で健康管理や介護のサービスを提供している住宅は有料老人ホームとして届け出る必要がある。「どちらにも届け出ずにチェックの行き届かない『無届け施設』が増える恐れがある」(高齢者専用賃貸住宅事業者協会)と危ぶむ声もあり,入居希望者は注意する必要がありそうだ。
【高齢者向け賃貸住宅とは】
 高齢者の入居を断る民間賃貸住宅が多いため,2001年に「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」が施行され,高齢者の入居を拒まない「高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)」の登録が始まった。高齢者だけを入居させる「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」の登録は05年に開始。 高円賃,高専賃とも一般の賃貸住宅と同様に毎月の家賃で入居できる。見守りや食事,介護サービスを有料で別途提供する住宅も増えている。
 有料老人ホームのような高額な入居一時金はいらず,賃貸借契約により一方的に退居させられる危険性も防げるため,高齢期の新たな住み替え先として注目されている。

 高齢者問題は,国の政策の中でも極めて重要な分野です。 まだ本格化しておらず,今後,確実に本格化する社会問題だからです。
 しかし,この分野の話題は,概して,魅力的な将来像を描けるものではありません。

 高齢者問題の本質は,需要は大量にあるのに,それが,収益につなげられないことです。
 真っ当な産業が育つためには,国の助成なしに,十分な収益が得られるようなビジネス・モデルの出現を待つしかありません。 とは言え,将来の年金制度さえ覚束ない中では,なかなか,リスクと利益のバランスが取れたビジネスを作ることは,困難でしょう。
 果たして間に合うのか? と思います。