(日経NET2009年12月25日より)
大衆食堂「ごはん家まいどおおきに食堂」の元フランチャイズチェーン(FC)店3社が,「不十分な経営指導で損失が拡大した」などとして,FC展開する「フジオフードシステム」などに計約7200万円の支払いを求めた訴訟の控訴審判決で,東京高裁(南敏文裁判長)は25日,請求を退けた一審判決を変更し,約4700万円の支払いを命じた。
判決理由で,「FC契約によれば,専門性を持つ社員が店の経営指導を負っていたのに,形式的チェックしかできないような経験と能力に乏しい若手社員を充てた」と指摘。「経営指導義務を履行しなかったことで,損害が発生したのは明らか」として,賠償責任を認めた。
一審は,元FC店側がFC脱退後に類似店の営業を始めたことが契約違反として,元FC店側に賠償を命じていたが,南裁判長は退けた。
フランチャイズ商法は,とてもトラブルが多いです。業界の最大手クラスでも,かなりのトラブルを生じさせています。
事業が一定の成功を収めたとき,更にレバレッジをかけて収益を大きくするためには,人手を増やせばいい。通常のやり方は,会社を大きくすることです。
しかし,会社を大きくすると,コストは上がり,リスクが大きくなります。この点,事業を大きくしたい,しかしコストやリスクを増やしたくない,という場合に最適なのが,フランチャイズのシステムです。
フランチャイズのシステムでは,大抵,コストとリスクの大半を担うのはフランチャイジー(加盟店)です。その反面で,フランチャイザー(本部)は,フランチャイジー(加盟店)からマージンを受け取れます。
つまり,本質的に,フランチャイザー(本部)にとってはローリスク・ハイリターンであり,フランチャイジー(加盟店)にとってはハイリスク・ローリターンの契約です。
したがって,フランチャイジー(加盟店)となるのは,よほど勝算があるのでなければ,お勧めできません。
契約書をよく読んで,どちらがどんなコストとリスクを負っているのか,それが収益性やマージン率と見合うのか,といったことを,慎重に検討すべきです。