(毎日新聞2010年7月22日より)
大阪・道頓堀の人気たこ焼き店「大たこ」の店舗が大阪市の市有地を不法占有しているとして,市から立ち退きなどを求められた訴訟で,最高裁第3小法廷(近藤崇晴裁判長)は20日付で,2審で敗訴した大たこ側の上告を棄却する決定を出した。大たこへの立ち退き命令が確定した。2審判決によると,大たこは72年の開業以降,同市中央区の道頓堀川近くの市有地約4平方メートルを占有してきた。 大たこ側は「20年以上,他人の物を占有した場合はその所有権を取得する」との民法の規定に基づき,06年に所有権移転登記を求めて提訴。 市は07年に土地の明け渡しと土地使用料(月額約1万3800円)の支払いを求めて反訴した。
1審の大阪地裁判決(2009年3月)は大たこの所有権取得を認めなかったものの「市と大たこは営業継続に努める方向で信頼関係を築いていたので,市の明け渡し請求は権利の乱濫に当たる」として市側の明け渡し請求を退けた。
これに対し2審の大阪高裁判決(10年1月)は「市側は隣接地の所有者を介して払い下げも試みており権利乱濫とは言えない」と判断した。1,2審とも土地使用料の支払いは命じていた。
大たこ,何度も行ったことがあります。 美味しいお店で,繁盛してます。
屋台式の店舗を置いておくことで「占有」(排他的支配)があったと言えるのかどうか。 法律上のポイントはここですが,この点については,1審から最高裁まで,一貫して 否定しています。
ただ,1審のみは,交渉経過を踏まえて,「権利濫用」という別の理屈をつけて,大たこ側の肩を持ちました。 もっとも,普通に考えて,橋のたもとの歩道の一部を占拠する形の屋台について,そのままの形で営業許可(使用許可)を与えるという選択肢が行政側にあったものかどうか,甚だ疑問なのですが…。
いずれにしても,最高裁で,立退きが確定しました。
願わくば,立退きの関係で無用な混乱を来すことなく,最寄りの適当な場所で 正規に店舗を開いて,速やかに営業を軌道に乗せて欲しいところです。